「にこにこの部屋」始まる。にこにこ通信 23

今年の夏休みも、しょうがいをもつ子どもたちの「にこにこの部屋」が始まります。
 今年の「にこにこの部屋」には、小学部1年から高等部2年まで10名の子どもたちがやってきます。身体しょうがい、知的しょうがい、ダウン症、自閉症、発達しょうがい等、様々なしょうがいをもつ個性豊かな子どもたちです。菟田野人権交流センターのデイルームを中心にした活動で、どんな出会いや体験があるのか楽しみです。
宇陀市では町村合併後も、旧 菟田野町 が実施していたしょうがいを持つ子どもたちの夏休みの居場所づくり事業を引継ぎ、児童デイサービスや日中一時支援事業等の障害福祉サービスを活用して実施されてきました。しかし、他の市町村ではなかなかこうはいかないと聞きます。児童デイサービスを行っている事業所も少なく、しょうがい児の親は子どもたちの放課後や長期休み、特に夏休みは子どもたちの居場所を確保するのに必死です。
 
昨年のことですが、 桜井市 でも手をつなぐ育成会や二階堂養護学校の親の会、しょうがい者支援を行っている事業所が、夏休みの子どもたちの居場所を作るため話し合いを重ねてきました。赤い羽根共同募金会や企業の寄付で財源やスタッフも確保し、なんとか実施する目処がたったのに肝心の場所が見つかりません。公民館や集会所、体育館等の市内の場所をさがしましたが、設置条例に照らすと目的外使用になるとかで、許可がおりません。
そこで、いきついたのが、市内に三カ所ある子どもセンターです。同和対策で建設された隣保館や子どもセンター(児童館)は、設置条例に「基本的人権が尊重される社会の実現を図るため~児童の健全育成を図るための活動に関する事業を行う」ことが明記されており、しょうがいをもつ子どもたちが居場所として活用するのには問題はなく、場所は確保されました。
7月29日から8月28日まで実施された「ほっと・ステーション」と名付けられた活動には、市内の地域の学校に通っているしょうがいをもつ子どもたちもふくめ、多くの児童の夏休みの居場所となり、今年も実施にむけての準備がすすめられています。
 
宇陀市での人権交流センターと 桜井市 での子どもセンターを活用したしょうがいを持つ子どもたちの夏休み等の長期休みの居場所づくりの活動。
今、隣保館や児童館等の同和対策の諸施設の統廃合がすすめられていますが、宇陀市や 桜井市 での運営は、こうした施設の運営の新たな方向を示しています。部落解放運動の財産を地域の財産として運営の門戸を開き、人権尊重の社会を実現するための出会いと交流の場となるよう支援します。
宇陀市の「にこにこの部屋」は、7月21日から始まり、今年は自閉症で多動の子どもたちも参加します。子どもたちの動きに負けないよう、知力と体力を養い、子どもたちと共にいい夏休みを過ごしたいと思っています。