にこにこ通信 24号

 学校が夏休みになって「にこにこの部屋」が、始まりました。
 子どもたちは、毎日元気よく人権交流センターへ集合して、それぞれ思い思いの時間を過ごしています。スタッフといっしょに体育館でボール遊びをしたり、体育館の中を歩いたりして運動をしている子。部屋できちんと定規で図形を書いて色塗りをする子。本を見ていろんな話をしている子。鏡の前でのんびり過ごしている子。宿題を広げている子。スタッフは、それぞれの子どもたちが、自分の好きなことをしながら他の子どもたちと関われるように気をつけています。年齢の大きい子には、それなりの役割を決めて、行動を促してやるとビックリするくらいうまく小さい子に関わってくれることがあります。
 ヒロくんは、何か言いたいことやしてほしいことがあると、大きな声を出すことがあります。この大きい声にはみんなビックリしますし、大きい声がとても苦手な子もいます。スタッフは、ヒロくんに「大きい声を出さないで、ジャンと言いや」と声かけをしています。そう言われるとヒロくんは「ジャン」と言いますが、長続きはせず、どうしても大きい声が出ることがあります。先週のことです。部屋でヒロくんが、大きな声で叫んでいたとき、大ちゃんが、「ヒロくん、ジャンと言うんやで」と言ってくれました。すると、ヒロくんは、すぐに「ジャン」と言い直してくれました。大ちゃんは、スタッフがいつもヒロくんに言っていることを聞いていて、自分も言ってくれたのです。スタッフが、「大ちゃんが言うてくれたから、ヒロくんジャンって言うてくれたなあ」と言うと、大ちゃんはとてもうれしそうでした。大ちゃんは、家では末っ子で自分より小さい子がいないので、お兄ちゃんの役割ができたことがうれしかったのだと思います。夏休みのはじめの頃、スタッフが大ちゃんに「大ちゃん、今年は高校生になったんやから、小さい子のこと面倒みたってな」と言ったことを、覚えていてくれたのかもしれません。
 今、子どもたちが少なくなって、年齢の違う子たちが関わることが難しくなっています。特にしょうがいのある子どもたちは、おとなとだけしか関われない環境の子が多いです。「にこにこの部屋」に来ている子どもたちが、みんなでドライブに出かけたり、川遊びをしたり、クッキングに取り組んだりする中で、お互いを思いやったり気にかけたりできるように心がけるのが、「にこにこの部屋」に関わった大人の役割なのだと考えています。