にこにこ通信 170号 ~利用者さんのこだわりを大切に~

 梅雨の季節になり、ピンクや紫のアジサイが庭を彩っています。

 デイサービスセンターにこにこは、特に大きな変化もなく、穏やかな日常が続いています。

 月曜から土曜まで毎日ご利用になっているトシさんのお気に入りは、タブレットとコーヒーです。朝、来所され手洗い・うがい・バイタル測定が終わると、「アメリカンいれてください。タブレットを持って来てください」とおっしゃるのが、彼の朝のお決まりです。その後、タブレットで好きなゲームをしながらコーヒーを飲まれます。少なくなってきたら、お湯を足してほしいと言われます。彼の使っているカップに動物のイラストが描いてあるので、その動物の例えば「ライオンの鼻まで」とか「ウサギの耳の上まで」という注文です。カップが透明ではないので、注文通りにお湯を入れるのはとてもむつかしいのですが、彼の特性である強いこだわりです。また、コーヒーも「アメリカン」「ブラック」「甘いコーヒー」と細かい注文があります。その都度、職員はご注文に合わせていれるようにしています。

 そして、時々、突然職員にいろいろな質問をされます。例えば、「ベルリンの壁はいつ崩壊しましたか」とか「過活動膀胱って何ですか」とか「氷鬼(こおりおに)ってしたことありますか」とか「とうふは、江戸時代には高級なものだったんでしょうか」など様々なジャンルについての質問で、しかも突然なので職員も戸惑ってしまいますが、あわてずにわかることについては極力答えるようにして、わからないことについては、「調べときますね」と答えたり、「今使ってはるタブレットで、調べましょうか」と言ったりします。急に単語が浮かんできて、質問しないではいられないそうです。そして、今使っているタブレットはゲームをしているので、他の事に使うのは嫌なのだそうです。

 月・水・金にご利用されているシヅさんは、いつもたくさんの荷物を持って来られています。バッグは、はち切れそうになっているし、ポケットもパンパンになっていますが、シズさんのこだわりです。

 持って来られた小さなぬいぐるみを職員に見せてくださることもあり、「かわいいなあ」と一緒に笑いあいます。

 シズさんの弟のエイさんは、飲食店の雑誌がお好きで、ずうっと見ていらっしゃいます。

 みなさんのこだわりに、つきあいながら「今日も、にこにこで過ごせてよかったなあ」と思ってもらえるように、そして、利用者さん一人一人が自分でできる事が少しでも増えていけるように支援していこうと思っています。