にこにこ通信 26号
にこにこ通信26
デイサービスセンターにこにこが、オープンして3年経ちました。オープン当初は、なかなか利用者さんも増えませんでしたが、家庭的な雰囲気が評判を生んだのか、最近では1日平均9~10名の方が利用されており、ほぼ定員いっぱいの状況です。
デイサービスセンターにこにこは、様々な方が利用されています。介護保険のサービスを提供している通所介護の事業所ですので、認知症の高齢の方が多くおられますが、その他、アルコール依存症の方や、学校の放課後や休みの日には、知的しょうがい、身体しょうがい、自閉症やダウン症といったしょうがいをもつ子どもたちも利用します。
そんな利用者さんのなかで、あさ子さんは、オープン当初からの利用者さんです。最近はよく笑われ穏やかに過ごしておられますが、利用され始めた頃は幻視幻聴もあって表情も固く、「家に帰ります。家の者を呼んでください」「私はにこにこ亭に拉致された。警察を呼べ」といった調子でした。
また、続いての利用者さんであるかず子さんは大人数の施設にはなじめず、にこにこへやって来た人でした。来られた時は「もう帰るわ」「今日はカラオケやからはよ帰る」と言っては室内をよく動き回り、落ち着かない様子でした。しかし、最近ではかず子さんも認知症の症状がすすみ、ソファに座っておられることが多くなり、大好きなカラオケも歌うことが少なくなりましたが、調子がいい時は1曲全てを歌いきることもあります。そんなかず子さんが、最初に来たときも今も歌われる唄があります。「お前本当に呼ばれてみたら、北の新地の裏通り~」本人は島津亜矢の唄だと言っておられますが、その唄の歌詞と歌手は未だ不明です。
また最近来られたひろむさんは、元教員です。認知症がすすみ、趣味の花の写真を撮ることもなく、自分の専門であった食品化学や自分が撮った写真にも反応を示されなくなっています。ところがある日、重いしょうがいをもつけいいち君が来た時には、突然立ち上がって車いすの後ろにまわり、けいいち君がベッドから車いすに移るのをサポートしてくれました。夏休みに実施したしょうがいをもつ児童とチャングの会との交流会に参加した時は、最初はチャングが楽器であることが認識できず、チャングの上に座ったりされていましたが、叩き方の要領がわかると見事に叩かれていました。
どんなに重い認知症でも以前に経験したことは忘れることはありません。自分が経験したことは、頭の中に記憶されているもので、認知症とは経験したことを必要な時に引き出す能力が低下しているだけで、記憶を引き出す環境を整えれば、以前の行動を部分的にですが取り戻すことは可能です。私たちは、こうした3年間の活動で得た体験をもとに、様々な困難をもつ人たちへの支援を更に充実させたいと思っています。
来る11月27日(土)午後1時45分~4時30分まで、認知症を支える地域作りをすすめるため、「認知症になっても住み慣れた地域で暮らしていくために」をテーマに、地域ケアを考えるフォーラム2010を開催します。 桜井市 のまほろばセンターで行いますので、多くの皆さんのご参加をお願いします。
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