にこにこ通信 29号(消防車を通じた触れあい)
にこにこ通信29
昨年のクリスマス前に「デイサービスセンターにこにこ」に、1本の電話がかかりました。地元の消防団の団長さんからでした。「8月の夏祭りに消防自動車を見に来てくれた子にクリスマスプレゼントを渡したい」という内容でした。
「にこにこ」がある岩崎では、毎年8月に夏祭りが開催されます。岩崎の自治会が中心になって解放同盟の岩崎支部なども実行委員会に加わってムラぐるみで行われます。昨年は、消防団も実行委員会に参加され、消防自動車を出して子どもたちに乗ってみたり、一緒に写真を撮ったりできるように呼びかけてくださいました。 毎週土曜日に「にこにこ」に来ているたっちゃんは、何よりも消防自動車が大好きな小学生です。夏祭りは、ちょうど土曜日に開催されるので、たっちゃんは、夕方になるのを待ちかねて会場の児童公園へスタッフと一緒に出かけました。会場に着くと、本物の消防自動車が駐車してあり、撮影用に子供用の消防士の服やヘルメットも用意してくださっていました。「ウーウーカンカン」と大きな声で叫びながら大喜びのたっちゃんでした。体中で喜びを表すので、車いすから落ちそうになりながらも「ウーウーカンカン」と叫んでいました。消防士の服やヘルメットをつけてもらい、団員さんたち手作りの紙製のホースを持たせてもらい何枚も写真を撮りました。運転席にも座らせてもらって、ハンドルも握らせてもらいました。話をすることはできないたっちゃんですが、全身で喜びを伝えていたのでそこにいた消防団の方々もたっちゃんの気持ちはよくわかってくださったことだと思います。次の週から、たっちゃんは「にこにこ」に来るたびに、その時の写真を見て、「ウーウーカンカン」と喜んでいます。
そして、12月18日たっちゃんは、岩崎の消防自動車の車庫で大好きな消防自動車のレプリカをプレゼントしてもらいました。消防団長さんは、「初めての試みであんなに喜んでくれて自分たちも本当に嬉しかった。」と話されました。重度のしょうがいをもった子どもと接したことがなかった消防団の方々だと思いますが、たっちゃんとのふれあいのなかでいろいろなことを考え、感じられたと思います。また、たっちゃんにとっても親しく声をかけてくれる関係の人の輪が広がったと思います。
この消防団の方々とたっちゃんのふれあいが、地域でいろいろな人たちと、「共に暮らす」ということのきっかけになれれば、そしてそういうことの橋渡しを「デイサービスセンターにこにこ」ができれば、今年も楽しく過ごすことができるのではないかなと思っています。今年もどうぞよろしくお願いします。
0コメント