にこにこ通信 35号

 デイサービスの楽しみのひとつは、お昼ご飯です。週3回利用されるヨシさんは、朝来られるとすぐに「きょうは、何があるの?」と聞かれます。
スタッフが今日の献立を伝えると「ごっつぉやなあ」と、うれしそうにおっしゃいます。でもすぐに「今日は、何や?」と聞かれるので、紙に今日の献立を書きます。
例えば、「ブリの照り焼き、白和え、ひじきの煮物、かき玉汁」と大きくサインペンで書いて見せます。ヨシさんは、読み上げて「ごっつぉやなあ」と楽しそうです。朝来られてからお昼ご飯を食べるまでの約3時間のうちにこの会話が、少なくとも20回は繰り返されます。
 デイサービスセンターにこにこでは、調理員の資格を持ったスタッフが毎日、お昼ご飯を手作りします。副食を刻み食、超刻み食、ミキサー食に、主食もごはん、おかゆ、おかゆをミキサーにかけたものなど、利用者さんの今の状況に応じた物を作ります。旬の野菜を中心に、利用者さんの好みや栄養を考えて献立を作ります。
 同じフロアの対面式になっている台所から包丁のリズミカルな音や、だしのいい香りがしてきます。
食事前には、みなさん一緒に嚥下体操をします。
緑の野菜が嫌いなアサさんには、スタッフが一緒に食べながら、「おいしいですねえ、ちょっと食べてみはったらどうですか」など声かけをしながら食べていただくよう促します。また、認知症がすすんでいる方は、時おりかむことや飲み込むことを忘れることがあるようです。そのときも「かんでくださいね。飲み込んでくださいね」と声をかけます。また、飲み込むことが困難な方には、とろみをつけて飲み込みやすいようにしています。
「おいしいなあ。これは、ブリやな」「ひじきか。あんばい炊いてあるがな」「だれが、つくったんや」と、食事をしながらヨシさんは楽しそうです。
「家では、ひとりで昼ご飯を食べるから、ここへ来たらにぎやかでおいしいものを食べられてうれしい。毎日来たい」とおっしゃってくださるケンさん。
もうひとつの楽しみは、3時のおやつです。暑い時期は、ゼリーやプリンまた宇陀の名物の葛を使って葛まんじゅうなどを手作りしています。
毎日、利用者さんとスタッフ12~16人くらいが、一緒にテーブルを囲んでにぎやかに食事を楽しんでいます。時には、隣の席の方の箸が伸びてくることもあったりしますが、小規模なデイサービスならではのアットホームな毎日です。