にこにこ通信 37号
今年の夏休みも「にこにこの部屋」を実施しました。今年の「にこにこの部屋」は宇陀市が「障がい児地域社会参加交流促進事業」として市独自の補助制度をつくり、八木一男福祉会をはじめ市内5つの事業所に事業委託を行いました。八木一男福祉会には、12名の子どもたちが利用申し込みをし、毎日6名から8名が会場の菟田野人権交流センターとデイサービスセンターにこにこで朝から夕方まで過ごしました。
ダウン症や自閉症、知的障がいや肢体不自由等、子どもたちの障がいは様々で、年齢も小学部1年生から高等部3年生までと離れています。
午前中は、自分の好きなことをして過ごし、昼からは自動車でお出かけをし、帰ってからはおやつを食べてDVD鑑賞と一日は流れます。年齢も離れ、障がいの特性もちがう児童ですから、時には衝突もします。大きな音が好きな子もいれば、大きな音や光が苦手な子もいます。
去年から「にこにこの部屋」を利用している自閉症で多動のしょう君は生活図鑑カードやパズルが大好きですが、それをよく床に放り投げてばらまきます。食事もご飯に乾いたのりを巻いてパリパリという食感がないとご飯を食べません。反対に脳性マヒで肢体不自由のけいちゃんは大きな音が苦手で、しょう君が近くに来るだけで泣き出してしまいます。また、自閉症のゆう君は二階のトイレしか使わず、ひー君は唐揚げ以外のおかずは食べません。ダウン症のしょうちゃんとこうちゃんは、とにかく動きません。放っておいたら、トイレと食事以外は一日中同じ場所で過ごしてしまいます。
子どもは、みんなドライブと音楽が大好きです。今年も川遊びや川上村の森と水の源流館、涼を求めて近くにある滝めぐりや買い物によく出かけました。川や自然は危険と背中合わせであること、お店に行ったら必要なものだけを買い、順番を待ってお金を払うこと、施設の見学に行ったら大きな声を出したり、走り回ったりせずに静かに見学することなど、当たり前のことですが、障がいを持つ子どもたちが社会のルールを身につけていくには、繰り返し繰り返し言葉や写真を使って説明しなければなりません。
こんな子どもたちですが、実に豊かな個性を持っています。いつもにこにこしているこうちゃんは、そばにいてくれるだけで楽しくなってきますし、すぐに手がでてしまうひろ君がそばに来ても嫌がらずに「かわいい、かわいい」と言って頭をなでます。ひろ君は、人を自分のそばに引き寄せる不思議な力を持っています。菟田野中学のヒューマンライツ部とチャングハジャの皆さんが交流に来てくれた時、ひろ君はにこにこして女の子たちに手をつないでもらって大喜びでした。
言葉で自分の気持を表すことが苦手な子どもたちですが、態度や表情を通して人との関係づくりを行っています。
今年の「にこにこの部屋」も無事に終わりましたが、障がいを持つ人たちが地域社会とつながっていく場が、隣保館や児童館を通して広がっていけばと思っています。
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