にこにこ通信 43号

 3月下旬から4月上旬は、学校の春休みです。
 にこにこの児童デイを利用している子どもたちは、毎日元気に菟田野人権交流センターで過ごしています。体育館でボール遊びをしたり、センターの階段を利用して足の運動をしたり、部屋で音楽を聴いたり、それぞれの楽しみを見つけて過ごします。
 また、お天気の良い日にはみんなで散歩もします。そして、午後にはドライブに出かけます。明日香村や月ヶ瀬村へ花を見に行ったり、昆虫館や子ども科学館へ勉強に行ったりしています。
 でも、みんなでワイワイ過ごすのが苦手な子もいます。
 高校生のみなちゃんは、とても無口な恥ずかしがり屋さんです。彼女は、交流センターでみんなと過ごすより、デイサービスセンターにこにこで高齢者の方々と一緒にいる方が合っているようです。
 皆さんと一緒にカルタやトランプをしたり、一人で静かにぬり絵を楽しんだりしています。
 でも、何か楽しいと思えることがないかと考えて買い物に行くことになり、橿原のイオンモールへ、電車とバスで出かけることにしました。普段あまり電車やバスを使うことがないみなちゃんなので、この機会に電車の切符を買ったり、バスに乗ったりする練習も兼ねて買い物も楽しむことにしました。
 その日は、天気もよくお出かけ日和となり、にこにこの職員と2人で出かけました。榛原駅では、みなちゃんが自動販売機で自分で切符を買い、自動改札機も通りました。電車を待っているとき、「4月から週1回だけでも電車で学校へ行くようにって、先生に言われてる」と自分から話してくれました。いつもは自分から話をすることがほとんどない子なのに、その日は会話が進みました。
電車の中でも、今日何を買うか考えてあることを話してくれました。
八木駅からバスに乗り、料金の280円をきっちり財布から出して準備していました。イオンモールに着いて、いろいろなお店をゆっくり彼女のペースで見て回り、きらきらのビーズやキャラクターの付いたTシャツやバッグや靴などを手に取って見ていました。
 結局、彼女が買ったのは赤いトートバッグひとつだけでしたが、自分でバスや電車に乗って、自分で選んだものを自分でお金を払って買うということが、彼女の日常生活のひとつの小さな自信になったようで、一緒に出かけてよかったと思います。
生活の支援というのは、日常の些細なことでも、ていねいに関わっていくことなのではないかと思います。そういう関わりの中で、彼女との会話や彼女の笑顔が増えていくことを願って、これからも子どもたちと過ごしていきたいと思っています。