にこにこ通信 45号
デイサービスセンターにこにこでの最近のトピックスをふたつ紹介します。
ひとつめは、“ファストフードに行ってみんなでおやつを食べよう”にチャレンジ中です。
いろんなこだわりをもっていたり、慣れないところに行くと緊張したり、パニックになったりしてしまう子どもたちと、外で飲食をするということは家庭でもなかなか難しいと聞いています。
スケジュールや場所を絵や写真で見せたり、声かけをしたりしてからでかけます。食べることに関心の高い子は、食べることはすんなりできても隣の席にまで手を伸ばすことがあるかもしれないので、注意が必要です。
慣れない場所に一歩足を踏み入れるのがしんどい子や、水の入ったコップが倒れるのをとても面白がる子など、さまざまなシチュエーションを想定した対応が必要ですが、徐々に楽しいティータイムになりつつあります。
外食でフライドポテトを食べることができた子のお母さんからの連絡帳には「ひさしぶりのフライドポテト!とてもおいしかっただろうと思います!」と喜びのコメントが書かれていました。
ふたつめは、“世の中捨てたもんじゃないぜ!”と実感した出来事です。
自立生活をしておられるタツ子さんは、毎月1回整形外科に通っておられます。2年ほど前から主治医になったT医師とは、軽い冗談も交わすほどに厚い信頼関係を築いてこられましたが、今月末でT医師が異動になることを今回の通院で初めて知りました。
待合室の壁に貼られた週間の診療医の中にT医師の名がなかったのです。それに気づき、タツ子さんに伝えたところ大きな衝撃を受けられました。
診察室に入って別れのあいさつをされたタツ子さんの目には涙があふれ、うつむきかげんのT医師の目はすでに真っ赤になっておられました。
最後の最後までタツ子さんの今後の生活や体調の維持などに心を配った言葉を残され、記念撮影まで快く応じてくださったできごとに立ち会うことができました。
タツ子さんがとても貴重な出会いをされたことを改めて実感し、そんな場面に介護士として寄り添うことができた喜びを感じました。
さて、そんな今日この頃でしたが、大きな報道をされることもなく、「障害者総合支援法」が6月20日、参院本会議で民主、自民、公明などの賛成多数で可決成立しました。
現行の障害者自立支援法が成立した際、サービス利用料が原則1割負担(応益負担)であることに大きな反発が起こり、全国で違憲訴訟が起こされました。
民主党がマニフェストに自立支援法廃止を盛り込み、さらに同法廃止を約束して原告団と和解していたにもかかわらず、障害者自立支援法の抜本改正にはならず、抗議の声が巻き起こっています。
支援を続ける中で何度もぶつかる制度の壁に利用者さんとともに怒りを感じる毎日です。
いま一度、ICF(国際生活機能分類)の考え方――「障がいは個人の問題ではない」「障がいは社会環境によってつくりだされたものである」ということを思い起こしたいものです。
「自己選択・自己決定」が安心して保証される社会の実現を目指しながらこれからも支援をしていきたいと思います。
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