にこにこ通信 49号

“ノーマライゼーション”という言葉をヘルパー講座で学びましたが、実生活の中で感じ、考えるようになったのは、つい最近、介護の仕事に就き、実際に障がいを持つ方の日常に接するようになって初めてのことです。
 障がいを持つ方の中には、四肢が不自由、目や耳が不自由、話したり食べたりすることも不自由な方がたくさんいらっしゃいます。しかし、衣食住から仕事やレジャーに至るまで、欲求や希望は健常者と変わりありません。身体に不自由はあっても、心は健常者と同じ、健常者と同じように生きたい、生活したいのです。
 私は『にこにこ』で日々、利用者様の日常生活をお手伝いする中で、そんな思いをひしひしと感じます。心地良くお風呂に入りたい、気兼ねなく用を足したい、美味しい食事を楽しく味わいたい、会話や団欒を楽しみたい、屋外に出て四季を感じたい、名所も訪ねたい、等々、思いは健常者と同じであり、それは人間として当然のことです。
 “ノーマライゼーション”とは、「障がい者を特別視せず、一般社会の中で人間として普通の生活が送れるような条件を整え、共に生きる社会こそノーマルであり、高齢者や障がい者の施設を遠くへ隔離・分離するような社会は不健全(アブノーマル)だ」という考え方です。
 「にこにこ」でも、スタッフと団欒を共にする食事、お一人ずつ寛いで戴く入浴、快適なお手洗い、レクリエーションやゲーム、カラオケ等お楽しみの時間、名所旧跡の散策や四季折々の花見ドライブ等、利用者様の思いを念頭にした介護に取り組んできていますが、これらも、ノーマライゼーションの一端であると思います。
 ノーマライゼーションを推進するために大切なこと、それは障がいを持つ人の立場になって考えること、健常者自身が想像してみること、もし自分が、家族が、障がいを持って生まれていたら、また健常な生活の途中で障がいを持つことになったとしたら、その時に自分は、家族は、どう生きたいと思うか、どのように生活できたら幸せか、嬉しいか、それを考え、実践に活かしていくことでしょう。それなのに今だ、障がい児や障がい者を奇異な目で見たり、迷惑がったりする人を見かけたりすると本当に悲しくなります。障がいをハンデと見るのではなく、同じ人間の、個性の一つとして捉えて欲しく思います。
 このように考えていくと、まだまだ私たちの提供しているサービスは満点とは言えないでしょう。これからはノーマライゼーションの理念を念頭に、その実践を心がけ、利用者様がデイでの一日をより楽しく快適に、障がいを気にかけることなく過ごしていただけますよう、利用者様の側に立ったサービスに、より一層努めていきたいと思います。