にこにこ通信 55号

 今年の3月、デイサービスセンターにこにこを利用していた3人の子どもたちが、二階堂養護学校高等部を卒業しました。だいちゃん、みなこちゃん、こうへい君の3人です。
 卒業後は、それぞれ生活介護と就労支援を行っている事業所に元気に通っていますが、私たちにとっても、子どもたちの卒業というのは、支援の一区切りでもあります。
 だいちゃんは、中学部からの利用者さんで、利用しはじめの頃は、だめだと言われることをわざとして、職員に注意されるのを楽しんでいるところがありました。今もまだそういうところはありますが、6年間のつきあいの中で、ずいぶんと成長したなと感じることは多々あります。
 みなこちゃんとこうへい君は、高等部に入学してからのつきあいですが、恥ずかしがりやで人前で話すのが苦手なみなこちゃんも、卒業間近には自分の将来の夢を話してくれるようになりました。にこにこを利用している子どもたちのなかで、言葉で自分の気持ちを話すことができるのは、だいちゃんとみなこちゃんだけで、他の子どもたちは相手に言葉で自分の気持ちをつたえることはできません。
 こうへい君は、地元の中学校を卒業してから高等部に入学した子で、重い自閉症で行動障害もあります。私たちがこうへい君の支援に入ったのは、高等部の2年生からで、それまでは学校の送迎バスにお迎えに来られるお母さんから、こうへい君のことを聞くくらいのことでした。ドライブが好きで、放課後や学校がお休みの時などは、一日中車であちこちとドライブしていること、お腹が空いたり自分の気に入らないことがあるとイライラして、人をかんだり爪を立てたりして、人を傷つけてしまうことがあるということでした。私たちは、「大変な子どもさん」という印象をもっていました。彼が、2年生になったころ、養護学校の先生から、朝夕の送迎時のお母さんの負担を軽減するために、自宅まで送ってやってほしいと相談を受けて、支援することになりました。送りといっても、送迎バスの発着地点から彼の自宅までは25㎞あります。最初は、自宅までの送りだけでしたが、何回か重ねてお互いが慣れてくる中で、途中コンビニによっておやつを買って自宅へ送れるようになり、やがて学校から早く帰る時には、レストランで一緒にお昼ご飯を食べたりして、長時間の支援もできるようになりました。
 今、彼は地元の社会福祉協議会が運営する小さな事業所で、箱詰め作業をして日中を過ごし、土曜日や祝祭日は、にこにこの外出支援のサービスを利用しています。時計がよめないこうへい君には、行き先を言葉と写真を順番に使ってその日の予定を示し、彼からは行きたいところやしたいことの反応が指さしで返ってきます。
 手探りで始めた彼とのかかわりでしたが、今では、にこにこのスタッフとの関係もでき、お互いが楽しい時間が過ごせるようになりました。
 これからも長い付き合いになるかもしれませんが、お互いが成長できる関係を築いていきたいと思っています。