にこにこ通信 58号 ~がんばり屋さんの成長をこれから見守っていきたい~

 あやさんとの出会いは5月の下旬でした。あやさんのお母さんから「にこにこさんを利用したい」との相談があり、ご自宅を訪問してお話を伺いました。
 特別支援学校に4月から通うようになって、少し戸惑いながらも、頑張って学校行事や授業に取り組んでいるとのことでした。
 あやさんは、プラダー・ウィリー症候群(PWS)という疾患をもっています。染色体の遺伝子異常により、肥満、低身長、筋力の低下などの症状がみられ、発生率は1万~1万5千人に一人という先天性の疾患です。
 PWSは、個人差はありますが、共通の症状として、満腹中枢の障がいに起因する過食、過度の肥満による糖尿病や高血圧、動脈硬化等の合併症などを引き起こすこともあるとのことで、食生活や体重管理にとても注意が必要とのことでした。
 お母さんから心配なこととして「とても頑張り屋さんですが、頑張りすぎて、疲れてしまい、パニックになることもあります。一人で家を出てしまって、探し回ったこともあります」というお話も聞かせていただきました。
 学校から帰ってくる時刻になり、バス停に迎えに行くとスクールバスからあやさんが降りてきました。あやさんは、人懐っこいかわいい笑顔で、しっかりとあいさつをしてくれました。
 放課後等デイサービスを利用し始めたあやさんは、「にこにこ」にすぐに慣れてくれました。
 あやさんは、動物が大好きで、「うだ・アニマルパーク」に行くと、目をキラキラと輝かせて「かわいい! 楽しい!」と大はしゃぎです。将来は犬の世話をする仕事に就きたいという希望を満面の笑顔で語ってくれました。
 プールで泳ぐのも大好きとのことで、ほかの子どもたちと一緒に「曾爾B&G海洋センター」にも出かけました。あやさんは、まだ十分泳げないので、浮き輪を使って、幼児用のプールで泳ぎますが、8月のある日、初めてビート板にチャレンジしました。ビート板を2枚重ねて、バタ足の練習をしました。
 スタッフがベストショットを撮影し、プリントアウトしてプレゼントすると「お母さん、びっくりするかなあ。初めてビート板で泳いだのを見て、感動してお母さん、泣くかなあ。きっと泣くわ」ととても喜んでくれました。後日、お母さんから「久しぶりにあんな笑顔を見ました。うれしいです」との電話をいただきました。
 体調管理をしながら、無理をせずに、さまざまな体験を重ねながら、できることを増やしていくというのが現時点でのあやさんの目標ですが、成長とともに変化していく症状や行動面での問題などたくさんの課題があるだろうと推測されます。
 あやさんの努力をゆっくり応援しながら、保護者の方、学校、事業所、行政などと連携し支援していきたいと考えています。