にこにこ通信 62新年号
2013年の世相を表す漢字に「輪」が選ばれましたが、デイサービスセンターにこにこも、職員同士や利用者さんとの輪を大事にしながら活動してきた一年でした。
悲しいお別れもありました。アサ子さんが突然亡くなられたことです。アサ子さんは、にこにこの最初の利用者さんで、ずいぶん認知症介護のあり方を教えていただきました。アサ子さんの実際の年齢は85歳でしたが、ご自分の口から出てくる年齢はいつも78歳です。ご家族によれば、78歳頃から認知症の症状が出はじめたようで、アサ子さんの記憶は78歳でとまっていたのです。来られた当初は、厳しい表情をされており、「こんな所で遊んでいる暇はない。すぐに家に帰してほしい」とか「家に帰してくれへんのやったら、警察を呼べ」などと言う調子で、こちらからの言葉かけにも、応じる様子はありませんでした。
ところが、一週間ほど経った頃、突然に態度が和らぎ、その後はにこやかに過ごされるようになりました。昨年2月、ご家族が外出された後の突然の出火で、お連れ合いとともに亡くなられました。発見されたご遺体は、生前のお二人と同様、お連れ合いがアサ子さんをかばうように横たわっていたそうです。この出来事は、高齢者だけの生活の危うさを表しています。
もうひとつの悲しいお別れは、介護タクシーの利用者さんでユキオさんです。腎臓を悪くされ、人工透析を受けられるため、週3日ご自宅から病院まで送迎をしていましたが、癌で亡くなられました。お元気だった頃は、豪快にお酒を飲まれる方で、お酒を飲んでいる時は、近寄りがたい雰囲気を持っている方でした。
しかし、一方では新しい出会いもありました。あやかちゃんとアヤカちゃん、通称ダブルあやかちゃんが昨年から放課後等デイサービスを利用するようになったことです。あやかちゃんには、染色体異常という難病があり、筋力低下や食事を制限しないと肥満になることなどの症状があります。また、食べ物に対するあくなき欲求が持続するため、食事と運動のコントロールが必要です。
そんなあやかちゃんですが、にこにこではお手伝いを積極的にしてくれます。また、他の利用者さんともにこやかに接してくれ、タケさんとは仲良しです。アルコール依存症のタケさんは、家では家族とのコミュニケーションはほとんどありません。孫のようなダブルあやかちゃんと一緒にトランプや坊主めくりをし、カード遊びをする時間がタケさんにとっては家族とのつながりを感じるひとときなのかも知れません。
格差社会の中で、所得だけではなく生活のすべての面で格差は広がっており、支援が必要な人は増えています。非正規雇用が全労働者の38%を占め、年収200万円未満の労働者は全体の30%の1000万人を超えており、スネップ(SNEP)と言われる仕事がなく社会との関係も持てない孤立無業者が増えています。
生活保護に至る前の自立支援策の強化をはかるため、生活困窮者に対し自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給、その他の支援を行うための措置を講ずるとして、昨年12月6日、改正生活保護法と生活困窮者自立支援法が衆議院本会議で可決、成立しました。生活困窮者自立支援法は、自立相談支援と就労準備支援からなっており、福祉事務所設置自治体は「自立相談支援事業」を実施しなければなりません。
2015年からの施行にむけて、2014年から相談支援員の養成研修が実施されますが、この法律の実効性を高めるためには、相談支援員の資質を高めなければなりません。
八木一男福祉会は、昨年から障害福祉サービス事業の特定相談支援事業を実施していますが、2014年は相談支援事業の充実をはかり、幅広い相談支援に対応できる力をつけていきたいと考えています。そして、地域で生活に困難を抱える人たちからの「助けて」というSOSをキャッチできるよう、活動をすすめていきたいと考えています。
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