にこにこ通信 67号 ~手話を通して理解が深まる、その有用性を広げたい~
にこにこに来られる利用者への支援では、ケースバイケースでコミュニケーションの方法を工夫しています。
聴力の低下した高齢の方、障がいを持っている子どもたちに対応するときは、顔の高さと目線を合わせ、ゆっくりとはっきりした声で、身振り手振りなども交えて伝えます。
写真や絵図なども有効な手段ですが、最近は手話も取り入れて、物事を理解したり、次の行動を示したりする双方向のコミュニケーション能力の開発が進んできています。
私は、手話を習い始めて1年半になりますが、自分自身のろう者に対する理解が格段に進んだことや、たくさんの友人ができたことが大きな財産となっています。
昨年10月に鳥取県が、全国で初めて「手話言語条例」を制定し、北海道石狩市が12月に「手話に関する基本条例」を定めたことをきっかけに、全国に「手話は、一つの言語」という認識が広がりつつあるとのことです。
奈良県では、河合町、平群町、大和高田市の意見書採択につづき、宇陀地域でも条例制定に向けた活動がすすめられています。
手話は、ろう者との大切なコミュニケーション手段であることはもちろんですが、認知症予防として活用したり、口話のむずかしい障がい者にも大変有効であるということが知られるようになってきました。
にこにこを利用している「ひいくん」は、自分から言葉を発するのが少し困難です。公園などで思い切り体を動かすのが大好きな子ですが、帰る時間を知らせるのに、「遊びは終わります」と手話とことばの両方で伝えます。「3時なのでおやつを食べに帰ります」「4時になったのでごみを集めます」など写真や絵だけでは伝わりにくいスケジュールも理解がスムーズとなり、「ひいくん」自身も、「わかりました」と手話で返事をしてくれます。特別支援学校でも手話を取り入れているので、習得している子どもも増えてきています。
障害福祉サービスの中にろう者への支援が少ないという話も手話サークルで聞きました。障がい福祉にかかわるスタッフに手話通訳者や要約筆記者の人材養成や確保が求められていることは言うまでもありません。
高齢ろう者(65歳以上)が、その障がい特性に対する理解や配慮の足りない中で介護保険サービスを受けざるを得ない現状があるとも聞きます。
すべての人が必要な情報をきちんと得られ、必要なサービスが平等に受けられるよう社会資源を整備していくことが急務です。
手話を学ぶ中で、手話の可能性の広がりを感じると同時に、一人でも多く手話のできる支援者がふえるよう精いっぱい努力していきたいと思います。
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