にこにこ通信 72新年号
明けましておめでとうございます。新しい年がスタートしましたが、振り返ってみると、昨年1年もデイサービスセンターにこにこにとっては変化にとんだ年でした。
介護という仕事をしていると、新しい人との出会いや親しかった人との別れに出会うことがよくあります。にこにこ設立以来の利用者のカズ子さんが昨年11月に亡くなられたことは、悲しいお別れでしたが、昨年はタカフミさん、シズ子さんという新たな利用者の方々と出会うことができました。お二人とも、精神に障がいをもっておられ、シズ子さんは10年間、病院に入院されていました。今は病気も回復し、元気ににこにこを利用されていますが、タカフミさんも、にこにこに来られる前は入院されており、入院中はいろいろと病院で問題を起こされた方でした。タカフミさんは、にこにこに来られてからは、利用者の送迎の手伝いをしてくださったりして、安定した生活を送っておられますが、人間関係に苦労をされ、精神に障がいを発症された方でした。
現在、デイサービスセンターにこにこには、認知症の高齢者や精神に障がいがある方、アルコール依存症の方、難病の方、知的障がいや自閉症、ダウン症の方等、20名の方が利用されていますが、おのおの障がい特性の違う方にどのようにして、穏やかに一日を過ごしていただくのかが課題で、そのためには、私たち職員は、高齢者の介護だけではなく、障がいをもつ方への支援のスキルも身につけねばなりません。
特に、子どもたちへの支援には注意が必要です。自閉症のヒー君は、機嫌よく過ごしていたかと思っても、突然に態度が変わることがあります。その理由を職員で話し合いますが、私たちの目線で話し合っても、なかなか結論はでません。自閉症の子どもの目線にそって、その時に彼から見える風景や体に感じることを考えないと、理解できないことがあります。今の世の中、私たちは自分と違う人間と出会うと、相手を「一人の個人」として見るのではなく、「〇〇の人」とか「△△の人」とかいう、抽象的な存在として見てしまいます。例えば、「精神障がいがある人は、何をするか分からない」とか、「認知症がある人は何もできない」とか。私たちは、認知症や障がいがある人の支援を通して、その人の障がい特性で人を見るのではなく、「〇〇さん」という一人の個人として理解することが大切であることを学んできましたが、「社会にはいろんな人がいて多様なんだ」という考え方を広めていかねばなりません。
今、八木一男福祉会の活動は、デイサービスや外出支援、相談支援事業といった泊まり以外の日中支援が中心ですが、今年は新たな事業へのチャレンジを考えています。グループホームの運営です。岩崎地区内にある市営改良住宅を活用して、障がいがある人が共同で生活することが出来る施設を運営していきたいと考えています。
八木一男福祉会の活動のテーマに、同和対策諸施設の有効活用というものがありますが、施設の統廃合や閉鎖によって眠っている施設を活用して、障がいがある人が地域で暮らせる条件づくりを進めたいと思っています。
話しは変わりますが、アベノミクスの成果が叫ばれ、別荘を買ったり、豪かな海外旅行に出かける富裕層の存在がテレビで紹介されていますが、本当の庶民の生活がよくなったのかは、実感は出来ません。逆に、非正規雇用が増え、所得の格差が広がっているのが現実です。昨年12月の衆議院選挙で戦後最低の投票率のなか、自民党が圧勝しましたが、原発再稼働、秘密保護法、集団的自衛権、武器輸出、憲法改悪等々の問題が一気に進むことが心配です。昨年11月28日に亡くなられた俳優の菅原文太さんは、亡くなる一カ月前に雑誌社との対談で、「政治家や官僚の悪口を言ってて、手遅れになるばかり。(自分たちで)『もう一つの日本』をつくろうよ」と発言されていました。『もう一つの日本』、それは社会のいろんな人の生き方が尊重されるとともに、自然と調和した農業が行われ、目で見える世界だけではない「聴く世界」があり、時間が自然の変化とともに流れていく。昔、私たちの祖先が暮らしていたような日本なのかもしれませんし、その世界は認知症の高齢者や障がいがある方にとって、住みやすい社会なのかもしれません。
デイサービスセンターにこにこは、今年も職員一同、笑顔を絶やさすことなく、いろんな人の多様な生き方をうけとめる介護職をめざし、頑張っていきたいと思いますので、ご支援をよろしくお願いいたします。
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