にこにこ通信 75号 ~地域全体の見守り、支えで安心・安全な暮らしを!~

 「高原の文化都市 四季の風薫る宇陀市」というのが市のキャッチフレーズです。この春は、長雨で短い期間でしたが、桜のお花見をスタートに春の行楽シーズンが到来しました。
 高齢者の利用者の方々は、これまで春は特に田畑の世話など生活に忙しくお花見の余裕などなかった方がたくさんおられます。
 恒例の芳野川沿いの桜並木に始まり、内牧区民の森、岩端の桜と順に桜を愛でに出かけます。「初めて来ましたわ~」「きれいやなあ」と感嘆の声をあげられます。
 近場の桜見物というのはなかなか行く機会が少ないもので、歩行が困難になられたエイコさんイサオさんに芳野川沿いの桜並木の通り抜けを車でしていただいたときは、「こんな見事な満開の桜の下の通り抜けは、初めてですわ」と涙ぐんでおられました。
 鳥見山のつつじを見物に行かれたシズさんも初めての散策だったとのことで、キラキラとした目で喜んでいただきました。
 土曜・祝日や長期休みを利用している子どもたちも地域の公園や山やスーパーなどいろいろな所に出かけ、様々な体験や地域の方々とのふれあいを大切にしています。
 道々で出会った地域の方々とは知らない方とも気軽にあいさつを交わし、顔見知りの方とは立ち話で盛り上がることもたびたびあります。
 地域の方々に見守られ、支えあいながら豊かにいきいきと生活できていることを実感するひとときです。
 最近の出来事でこんなことがありました。
 ある朝、生活介護を利用しておられるマサさんのお父さんがあわてて走ってこられました。
 「マサが朝から一人でどこかに行ってしまい、いなくなりましてん。ここにきていませんか?」とおっしゃるので、驚いて何人かのスタッフが探しにいきました。手分けして付近を探しましたが見つかりません。途方に暮れるお父さんを気遣いながら探していると、近くに住む方がマサさんを車に乗せて、自宅まで送ってきてくれました。
 マサさんは、自宅から1キロほど離れたところまで一人で歩いていたところを、その近くに住む方の娘さんが見かけて電話をかけてくれたので、急いで車を走らせて見つけてくださったとのことでした。
 さらに、数分後に市役所の方も駆けつけてくださり、「地域の方から電話があったので見に来ました」とのことでした。山間部とはいえ朝夕の通勤時には交通量もかなり多いので、無事に帰宅され胸をなでおろした次第です。地域の方々の温かい見守りが生きているエピソードのひとつだと思います。
 地域で、どんなに年をとっても障がいがあってもなくても、ありのままに、安心・安全な暮らしが続いていくように、地域の方々や行政、事業所などみんなで支えあい、支援をつないでいけるようなまちづくりができたらと願っています。