にこにこ通信 77号 ~「共に成長していきたい」ヘルパーとしての決意~
私が、にこにこで特に関わる時間の長い高校生の男の子、ヒロ君はとにかく新しい人や物が大好きで、常に新しい刺激を求めています。初めて見る物には何でも興味を示し、道行く人でも気になる人がいれば、お構いなしに近付こうとします。初めて出会った頃に比べると随分落ち着いてきたように思いますが、気分が高揚してくると大声を出したり、机を叩いたり、時には周りの人に手が出てしまうところはあまり変わっていません。
そんなヒロ君が先日、学校教育の一環で実習を受けることになりました。実習先はなんとデイサービスセンターにこにこ。私はヒロ君のほとんどの実習に携わることになったのですが、にこにこでの普段の様子を見ている限り、果たしてどこまでうまくできるのかと始まる前は少し不安でした。
実習は月曜日から金曜日までの5日間。近くの中学校への古新聞や段ボールの運搬、空き缶を潰してリサイクルセンターに持って行ったり、花壇で種まきし、ジャガイモの収穫を手伝ったり、毎日違う作業をしました。その中でもヒロ君が一番得意だったのは物を運ぶ仕事で、力持ちのヒロ君にピッタリでした。
特に初日に行った新聞と段ボールの運搬は、最初こそスタッフが側について車まで誘導していましたが、何度も繰り返しているうちに一人で往復して運べるようになりました。慣れない作業に苦戦する中、ヒロ君は私が思っていたよりもずっと真面目に作業に取り組み、普段は見せないような意外な一面をたくさん見せてくれました。
また、4日目の終礼を終えてご家族のお迎えを待っている間、自分から終礼の絵がプリントされたカードを持ち出してスタッフにお辞儀をし、玄関でじっと椅子に座っていることがありました。それは、「早くお家に帰りたい」というヒロ君なりの意思表示だったのかもしれません。
言葉で思いを伝えられないヒロ君ですが、それは決して言葉を理解できないという訳ではなく、いつも彼なりの方法で、一生懸命に思いを伝えようとしてくれています。それはヒロ君に限らず、にこにこに通う子どもたちみんながそうで、それぞれが自分のやり方で私たちにサインを送ってくれています。私はその合図をいかにキャッチできるか、また、その子たちに適した表現方法を見つけてあげることが、子どもたちの支援をする上でとても大切だと考えています。
子どもたちとにこにこで過ごす日々は、いつも新しい発見があって飽きません。そして、ただ支援をする側に立つだけでなく、子どもたちから学ぶこともたくさんあります。精一杯「今」を楽しむ気持ち。自分に正直に真っ直ぐ生きる子どもたちの笑顔は、とてもキラキラしています。
まだまだ至らない点も多いですが、にこにこをご利用される方々がより一層楽しく、穏やかに過ごせるように、この場所で彼らと共に成長していければと思います。
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