にこにこ通信 81号 ~利用者が自己選択・自己決定できる施設環境をめざして~
デイサービスセンターにこにこは、2007年に開設され、8年が経過しました。
オープン当初のリーフレットには「年をとっても、どんなに重い障がいがあっても『地域でいきいきと楽しく暮らしつづけたい』というのは、誰もが持っている願いであり、当たり前の権利です。『自己選択・自己決定』を尊重した高齢者・障がい者の自立支援に向け、おひとりおひとりの願いに寄り添いながら、介護と移動支援の事業を柱に活動を行っています」とうたっています。
「自己決定」ふだん何気なく使う言葉ですが、障がいを持つ方や子どもにとっては、日常のささいな一つ一つについての「自分で選ぶ、決める」ということがとてもむずかしいことだと痛感する日々の連続です。
アヤカさんは、特別支援学校高等部2年生で、中学部の3年生から、にこにこの放課後等デイサービスを利用して3年目になります。
おだやかで素直な性格でどちらかというと周りの人に合わせてしまうところがありました。ときには、自分の意思とは違うことにも、「うん」と言ってしまう場面も見受けられました。
あるとき、無理やストレスが重なって、食事がとれないことや、食べ物を吐いてしまうことがあり、学校や事業所、保護者が集まって、「好きなことを好きと言えたり、嫌いなことをはっきりと嫌いと言えるように積極的に、自己決定を育てる支援をしていこう」と確認しました。
それから3か月が過ぎ、アヤカさんは、友達が「ね、アヤカちゃんカラオケしたくないよね」と言っても、したいときには、はっきりと「カラオケしたい」と意思表示ができるように大きく変化してきました。アヤカさんは、毎週水曜日のびのびと楽しく自信に満ちた表情で大好きなカラオケを歌っています。
また、11月1日に開催された、第22回菟田野人権フェスティバルのアトラクションに出演し、当事者のアピールも行いました。宇陀市障害者地域自立支援協議会子ども支援部会の参加で、ユウちゃん、タカさん、アヤちゃん、アヤカさんの4人で、自分の名前、学校名、将来の夢を発表してくれました。
出演にあたって事前に、アヤカさんの保護者の方にお話ししたところ、人前では緊張して話せないので無理かなということでしたが、アヤカさんに意思を確認すると、「発表したい」と力強く言ってくれました。当日の体調や気持ちの変化など、出演時間ぎりぎりまで関係者は心配していましたが、しっかりとアピールしてくれました。
自分の意思や願いを主体的に決定できるようになってからのアヤカさんは、上手にストレス解消もできるようになってきたようです。学校でも自分から「外に遊びに行きたい」といえるようになったり、家でも保護者に自分の行きたいところ、したいことをはっきりと表現できるようになって来ています。
「自己決定」「自己解決」「自己主張」「自己理解」は生きていくうえでとても重要な4つのスキルと言われています。
子どもたちそれぞれが、学校を卒業して自分に合った生き方や生活が選択できるように、「選択の機会をもつ支援」と「選択し決定することのできる支援」を継続し、いきいきと地域で暮らしつづけたいというおひとりおひとりの希望やニーズが実現できるようにこれからもにこにこの運営を行っていきたいと考えています。
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