にこにこ通信 86号 ~新たなショートステイ事業に期待がふくらみ~

 にこにこでは、4月からショートステイ事業をはじめました。宇陀市内の市営住宅を改修して開設したグループホームに併設型のショートステイです。
 今利用されている方は、今年特別支援学校の高等部を卒業されたヒロさんと、今年から中学部へ入学されたあゆ君の二人です。二人とも、放課後等デイサービスなどを利用されていて、にこにこのスタッフとは、以前からお付き合いがある方々です。
 1回目は、あゆ君の宿泊体験でした。夕ご飯を食べ、入浴し、眠りにつくという家庭と同じような時間の過ごし方をスタッフといっしょに体験したあゆ君は、とてもスムーズに過ごすことができたようです。それからは、週1回のペースで順調に利用されています。
 もう一人の利用者ヒロさんは、はじめての時は、なかなか眠れませんでした。普段と違う環境には、なかなか慣れることができないという特性があるヒロさんにとっては、落ち着かなかったのでしょう。昼間、散歩や作業をして太陽を浴び、体を動かしたり、夕食と入浴の順番を入れ替えてみたり、彼にとって心地よく安心できる場であると思ってもらえるように、スタッフ全員でいろいろなアイデアを出しあいました。ヒロさんもスタッフもお互いに慣れてきたということもあり、2回め、3回めは徐々に眠る時間が増えてきました。今は、週1回のペースでのご利用ですが、スムーズに眠れるようになったら週2回3回と増やしていき、最終的にはグループホームでの生活が出来ればと考えています。
 グループホームの建物は、住宅地にある戸建ての家で庭もあるので、花や野菜などを育てて近所の方々と触れ合いながら、生活していければ楽しいなと思っています。 
 近い将来、茨木のり子さんの『六月』という詩の一場面のようにあゆ君やヒロさんがスタッフといっしょに畑仕事をしていると、近所の方が声をかけてくれ、夕方仕事の終わりには、みんな一緒にタカさんが入れてくれたおいしいコーヒーを楽しむという生活ができたら、とても楽しいだろうとワクワクします。
 どんなに重いしょうがいがあっても、地域でいろいろな方のいろいろな支援を受けながら暮らせていければ、しょうがいがある人もない人も、誰もが生き生きと生活できると思います。
 
「六月」            茨木のり子
  どこかに美しい村はないか
 一日の仕事の終わりにはいっぱいの黒麦酒
 鍬を立てかけ、籠をおき
 男も女も大きなジョッキをかたむける    (一部引用)