にこにこ通信 88号 ~初めての夏休み、家族が帰ってくる夏休み…~

 連日のように最高気温が体温を上回る猛暑の夏となりましたが、にこにこを利用している子どもたちは、しっかり汗をかきながらも、パワーあふれる歓声をあげて、元気いっぱいです。
 新1年生トリオで宿題のある子は、午前中勉強タイムです。足し算やひらがなの練習などスタッフもかろうじて教えられるレベルなので安心して見ていられます。
 ある日、にこにこ利用者の大人の人と同じ場所で過ごすことになり、百ます計算や線つなぎの答え合わせを大人の方たちに見てもらいました。
 一年生のハヤちゃんは、計算がとても得意で、早く正確に答えを出します。アルコール依存症で通院しながら病気の克服をめざしているトシさんに丸付けをしていただきました。全問正解でした。ハヤちゃんの得意満面の笑顔が輝いていました。
 同じクラスのコウちゃんは、4月の入学当時に比べて、見違えるように言葉も増えいろんなひととのかかわりも持てるようになってきました。線つなぎを見事完成させて、後遺症で半身まひと言語障害を抱えながらもリハビリで少しずつ言葉を取り戻しつつある、タカさんに答え合わせをお願いしました。コウちゃんも100点で、みんなから拍手をもらいました。人懐こいコウちゃんは、エイコさんのひざの上にちょこんとのったりしてほのぼのとしたひとときでした。
 地域の学校に通うヒサくんは、『ドコドコキノコ』の音楽が大好きです。にこにこに来ると必ず「きのこきのこ」とリクエストして、BGMをかけてもらいながら、遊具で思う存分体を動かしています。学校でも様々な支援を受けながら、45分間の授業を机に座って課題に取り組むことができるようにまで成長してくれています。
 ある日、大人の利用者のシズさんの家族さんから突然電話が入り、「今日は午後から家族が迎えに行き早く帰ります」とのこと。事前に連絡がなかったので、「家族に何かあったのかな?」ととても不安な面持ちで家族のお迎えを待ちました。なんと遠方に住んでおられる娘さんが、夏休みなので孫さんを連れて帰郷されたとのことで、シズさんは大喜びでした。
 エイコさんもこのお盆には、子どもさん、孫さん総勢8人の来客があり、草刈りの指示をしたり、手作りで柿の葉寿司をつくったりと大忙しでしたとお話を聞かせていただきました。そんなお話を聞かせてもらう時間がこれからも長く続くことを願っています。
 高齢の方、障がいのある方、子どもも大人も、みんなでかかわりながら支えあえる地域づくりが一歩ずつすすんで行っていることを実感する日々です。
 朝晩ほんの少し涼しくなりました。宇陀ではそろそろ稲刈りが始まり、萩の花が咲き始めます。また紅葉めぐりで忙しい季節を迎えます。