にこにこ通信 91号 ~社会参加へ良い機会となった地域の人権フェスティバル~

 にこにこは今年、菟田野の人権交流センターで行われる人権フェスティバルに出店することになりました。にこにこに通う子どもたちの様子や、生活介護を利用している方の作業風景を紹介した展示物に加え、今年は焼き芋とコサージュの販売に挑戦しました。
 焼き芋に使用するサツマイモは児童館で収穫したもので、夏休みの間は子どもたちが暑い中、毎日欠かさず水やりを行い、収穫時は大人も子どもも一丸となって頑張りました。
 コサージュは、生活介護を利用している利用者さんが切った生地や、組み立てたケースを使い、一から手作りしました。みんなでアイデアを出し合って試行錯誤をくり返し、世界に一つだけのオリジナルコサージュが完成しました。
 そして11月6日当日、天気はあいにくの曇り空でしたが、センターには朝からたくさんの人が集まり、会場の準備にいそしんでいました。私たちも商品の陳列や焼き芋の準備に取り掛かっていると、にこにこで生活介護やショートステイを利用しているヒロさんが助っ人としてやって来てくれました。
 アオサやシイタケの販売は経験のあるヒロさんですが、お店に立ってお客さんと接するのは初めてのことです。イベントが大好きなヒロさんは周りのことがとても気になる様子で、突然いすから立ち上がって他のお店に行こうとしたり、見知った顔を見つけるとうれしそうに声を上げたりしていました。
 開会式の終了と共に、バザーや屋台の開始が告げられました。今年は催し物と屋台が同じ場所で行われるため、ステージで披露される歌やダンスを楽しみながらお店を見てまわる人がほとんどです。ヒロさんも、会場に流れる音楽を聴きながら、訪れるお客さんに機嫌よく愛きょうを振りまいていました。
 販売開始から数分後、早速一人目のお客さんがお店にやってきました。ヒロさんはいすに座っているだけでしたが、静かにスタッフとお客さんのやり取りを眺め、最後は笑顔で焼き芋をお買い上げ頂いたお客さんにお辞儀をしていました。
 寒さのおかげもあってか、それから焼き芋は順調に売れていきました。コサージュの方も、通りかかった人に「かわいい」と言っていただき、小さな女の子がお小遣いを握り締めて、様々な種類の中から気に入ったものを選んで買っていってくれました。
 イベントが終わりに近づく頃、外はすっかり肌寒くなっていましたが、約60本の焼き芋を無事完売しました。初めは長時間お店でじっとしていられるか心配だったヒロさんも、気づけば終了の時間までずっと店番をしてくれていました。会場で様々な人から「ヒロ君や!」と声をかけてもらい、大好きなうどんと焼きそばを食べて、イベントを満喫した様子のヒロさんでした。
 終わってみればあっという間でしたが、利用者さんもスタッフもボランティアでお手伝いに来ていただいた方も、みんなが一つのチームとなって協力することができた一日でした。ヒロさんにとっても楽しい思い出ができただけでなく、社会参加への良い経験になったと思います。
 来年はグループホームの入所を予定しているヒロさんですが、入所後もにこにこで様々な仕事をしながら、地域で暮らしていくことになります。にこにこや身近にいる人たちだけでなく、地域の人たちとも関わりを持ち、共に支えあっていけるような関係をこれからも目指していきたいです。