にこにこ通信 102号 ~ケンカするほど仲がいい?楽しみな二人のこれから~

 幼なじみのコウくんとハヤちゃんは、小学校2年生です。1年生からにこにこの放課後等デイサービスを利用しています。
 「ケンカするほど仲がいい」という言葉どおり、寄ると触るとケンカをしています。ケンカのネタは、ささいなことで、昼食後の歯磨きの順番で、どちらが一番にするかということでもめます。「俺が一番だ」「ぼくが先に来た」で、大声を出して、ののしりあい、はてには大泣きをしてしまいます。二人は対人面でうまく付き合うのが課題という特性を持っています。
 じゃんけんで決めようと提案してみると、コウくんがいつも同じものを出すのでハヤちゃんがそれを覚えていて、必ずハヤちゃんが勝ってしまって、コウくんが、悔し泣きをし「もうじゃんけんはしない!」と叫ぶ始末です。
 互いに譲り合うことはまったくなく、にこにこで会うたびにケンカが続きました。
 ある日、スタッフが割り箸で手作りのくじ引きをつくり、「せーの」で同時にくじを引いて、順番を決めようと提案してみました。ふたりは、「くじ引きやりたい!」と喜んで、ひいたくじの順番に落ち着いてしずかに平和に歯磨きができました。これで一件落着かと一安心していると、こんどはくじ運の強いハヤちゃんが毎回一番になることになり、またしてもコウくんが激怒し、「もういやだ! もうくじはひかない」と大泣きしてしまいました。
 歯磨きのことだけでなく、遊びの中でもちょっとしたことで大ゲンカになり、送迎の車の中でもケンカをしていました。
 保護者の方も見かねて朝の迎えの際に「今日はケンカせんときや」と一言声をかけられる日もありました。知恵を絞り、二人に提案してみました。「ケンカをしないで、なかよくできたらごほうびがあるかもね」というと「なに? なに?何がもらえるの?」と目を輝かせました。
 ハヤちゃんは「ぼくはだるま落としがほしい。今一番楽しいのはだるま落としで遊ぶこと!」と言い、コウくんは「ぼくは、ポ○○○ ガ○○○がほしい!」とのことでした。「じゃあ、ごほうびがもらえるようにどうすればなかよく歯磨きができるか考えてみて?」と話すと、しばらくして二人が出した答えは、なんと「今日くじを引いて一番になったら次は二番と、かわりばんこに歯磨きしていくわ」と言って、その日はふたりとも一度もケンカをせず、仲良く過ごすことができました。
 二人は、ごほうびのだるま落としのおもちゃで遊んで、ポ○○○ガ○○○の写真をながめてにこにこの笑顔で帰っていきました。
 これからも行きつ戻りつは多々あると思いますが、成功体験の積み重ねで少しずつ成長していく二人のこれからがとても楽しみです。