にこにこ通信 106号 ~一人ひとりの特性に合わせ、焦らず、じっくり、寛容に~
2018年厳冬の中、全国的にインフルエンザが大流行したさなか、にこにこの子どもたちは、元気にこの寒さを乗り越えています。
宇陀市の小中学校で学級閉鎖が相次ぎながらも、ヨーグルト大好きのアユ君は、腸内環境が良好なためかほぼ風邪をひくこともなく、いつも元気印のハヤちゃんはしっかりご飯を食べて乗り切りました。
偏食で、食の細いコウくんは、何やかやと自分なりのペースで冬を楽しんでいました。
いつもお騒がせのひろさんは、しっかりと熱を出しましたが、すぐに治りました。裸足大好きグループのひーくんとひさくんは、寒さをものともせず、いつものように薄着でしもやけ知らずのようです。
最年長のショウちゃんは、にこにこのムードメーカーで、なにかとほっこりした空気を作ってくれる存在です。ショウちゃんも風邪知らずの冬を過ごしました。ショウちゃんは、自閉症スペクトラム障害と診断され、特別支援学校を卒業したのちは、地域の生活介護事業所を利用し、パンの配達などのしごとをしています。
自閉症スペクトラム障害の原因は明らかになっていないとされています。長い間「親の療育の失敗」や「親の愛情不足」などと偏見を持たれ、障がいの受容もすすまない状況が続いてきています。
宇陀市障害者地域自立支援協議会子ども支援部会主催の井戸端会議でも保護者の声として、自閉症の子の父親や祖父母が「子どもの障がいを認めたくない」「療育手帳をとるなんてとんでもない」などと発言し、母親がつらい思いをしているという話をよく聞きます。
ショウちゃんのほっこりとした空気感がどこからもたらされているのだろうかと考えたときに思い当たるのはやはりお母さんをはじめとしたご家族の皆さんです。
ショウちゃんのおうちは専業農家で、ご家族みなさんが力を合わせて田畑を管理し、農を営み、収益を上げて、生活を成り立たせておられます。ご家族みなさんがショウちゃんを笑顔で見守り、しかることなく、寛容な姿勢で対応し、いろいろな農作業をショウちゃんが手伝える範囲で手伝ってもらいながら、それをみんなの喜びとして受け止めながら精一杯生きてこられたご家族です。
ある日、にこにこご利用時の朝お迎えにうかがった時にショウちゃんが「おかあさん」「行ってきます」と短くお母さんにあいさつされました。
ショウちゃんはなかなか言葉がでなくて「ありがと」の「と」や「さよなら」の「ら 」と発音されることが多かったのですが、そのときははっきりと「おかあさん、いってきます」と話されました。そのときはお母さんもスタッフもびっくりしたのですが、特性を理解しながら、あせらず、じっくりと寛容に接することの大切さを実感したひとときでした。
さて、寒さ知らずのひーくんが、思春期にさしかかり、最近、少しやんちゃ度を増してきています。
寒さの山も支援の可能性も、もうひと越えです。ひとりひとりの特性に合わせてそれぞれが、ほっこりとした時間が過ごせるような支援ができるかどうか、にこにこスタッフの知恵を出し合いましょう!
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