にこにこ通信 124号 ~少しの工夫で良くなる人との関係~
今年も暑い夏を迎え、夏休みに入った子どもたちは毎日の暑さにも負けず、宿題に遊びにと大忙しです。そんな中、にこにこには新しく小学校一年生の男の子がやって来ました。
小柄でおとなしい性格のコウちゃんは、初めてにこにこへやって来た日に、自分よりも体の大きなヒロさんを見上げてとても驚いていました。そして、ヒロさんも初めて会ったコウちゃんに興味津々で、興奮のあまり突然大きな声を出されました。コウちゃんはそれが余程怖かったようで、ヒロさんから距離をとり、近くにいたスタッフに「あっち行って」と言ってヒロさんのいる方を指差しました。それからというもの、コウちゃんはヒロさんを避けるようになってしまいました。
初日から先が思いやられる状況になってしまい、どうすればコウちゃんがにこにこに馴染めるのか頭を悩ませましたが、ある時スタッフがコウちゃんにヒロさんが怖くなくなるとっておきの秘策を教えてあげると、コウちゃんはヒロさんを怖がらずに楽しく過ごせるようになりました。
その秘策というのは、「ヒロさんに向かってバイバイと手を振ること」です。コウちゃんがヒロさんに向かって手を振ると、ヒロさんは楽しそうに笑顔でバイバイと両手を振って返しました。
ヒロさんのその仕種は、スタッフがヒロさんと別れのあいさつをする時に、「さようなら」と言って手を振っていたのが切っ掛けでした。あいさつの度に手を振るスタッフを見て、その動きが面白かったのか、いつの間にかヒロさんも真似をされるようになりました。
ヒロさんは体が大きく、興奮すると突然大きな声を出したり、近くにいる人を引っ張ったり叩いたりすることもあるので、子どもたちから怖がられてしまいがちですが、笑うととても愛嬌があります。大人になった今でも昔と変わらない無邪気な笑い方は、ヒロさんのチャームポイントです。そんなヒロさんの笑顔を見て安心したのか、コウちゃんは何度もヒロさんに向かって手を振っていました。
ほんの少しの工夫で簡単に解決できることもあるのだと感じさせられる一幕でした。支援の課題は尽きませんが、今後もスタッフ同士で話し合い、試行錯誤を重ねて、子どもたちが楽しく安全に過ごせる環境づくりに励みたいと思います。
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