にこにこ通信 131号 ~勉強よりも遊びを優先させたい子どもたち~

 にこにこを利用している子どもたちは、放課後に児童館へやってくると、まず初めに学校の宿題にとりかかります。子どもたちは勉強嫌いな子が多く、宿題をするように声かけをしても、「いやや」「今日は宿題しない」と言って、席につこうとせずに遊びはじめてしまう事があります。そういった子たちは、学校でも勉強に集中することが難しいようで、同学年の子たちとどんどん学力の差が開き、問題が解けずにイライラしたり、宿題をため込めこんでしまいます。

 小学校1年生の時からにこにこを利用しているハヤくんとコウくんは現在4年生で、当時はスラスラと解けていた問題が年々難しくなり、最近では宿題の度に頭を悩ませています。スタッフも問題の解き方をわかりやすく説明しようとしますが、なかなか上手く伝わりません。それどころか、余計に混乱させてしまったり、机に突っ伏して「ムリ~」「わからへん」と諦めムードに入ってしまいます。

 2年生のハルくんとイオくんも勉強はあまり好きではなく、いつも勉強に取りかかるまでに時間がかかります。また、席についてもすぐにお友だちとのおしゃべりに夢中になったり、誘惑に負けて遊具の方に遊びに行ってしまったりします。

 そんな時は、気分転換に少しだけ体を動かしてみたり、「〇〇時まで頑張ろう」「あと〇ページで終わり」と勉強に区切りをつけたりして、子どもたちに勉強の続きを促しています。中には、「残りは家でやるからいい」と言って途中で勉強道具を片付ける子もいますが、家庭によっては家での勉強が困難な子もいるので、無理のない範囲で勉強に取り組んでもらうようにしています。

 子どもたちだけではなく、当然教える側のスキルも重要です。にこにこでは、近所でボランティアの先生方が行っている、小学生を対象にした学習支援の様子を見学させていただきました。また、今後は学校での授業の様子を見学させていただくことも考えています。

 先日、勉強を始めるのが遅くなってしまったイオくんが一人で机に向かっていると、先に宿題を終えたハヤくんが近くにやってきて、イオくんの宿題をじっと眺めていました。その時に、ハヤくんにも何か手伝えることはないかと思い、「間違えてるところがないか見てあげて」というと、ハヤくんは「わかった」と言ってイオくんの漢字ドリルを見てくれました。漢字が得意なハヤくんは、「ここ違うで」「ここもちゃうわ」と言って間違えた所を消しゴムで消してくれました。その後、間違えた漢字をいくつかノートに書き出して、イオくんに「これだけ練習しよう」と言って渡すと、イオくんはすんなり勉強に取りかかってくれました。時々、「この漢字とこの漢字似てるね」「この漢字って〇〇くんの名前やんなぁ」と三人で何気ない会話を交えつつ、あっという間に宿題を終えたイオくんは、ハヤくんやスタッフと一緒に思いっきり体を動かして遊びました。

 もうすぐ新学期が始まると学年が一つ上がり、ますます学校の勉強は難しくなっていきます。勉強よりも遊びを優先させたい子どもたちが、楽しみながら今の大切な時期を頑張って乗り越えていけるよう、私たち支援者の指導技術ももっと磨く必要があるのだと感じさせられました。