にこにこ通信 15号
今まで「デイサービスセンターにこにこ」の活動の様子を中心に「にこにこ通信」に紹介してきましたが、今回は精神障害者の日中の居場所として八木一男福祉会が運営している「ふれんど」の活動を紹介します。
宇陀地域には、以前より精神障害者や、高次脳機能障害者(脳内出血や交通事故等による後遺症障害保持者)の日中活動を中心とする通所施設がなく、当障害者自身やその家族からの強い要望の増加に伴い、長年の課題であった施設設置が漸く平成19年4月になって実現されました。開所された当時は、榛原区萩乃里の一戸建て住宅を借り数名の利用者からスタートしましたが、今では利用登録者数も20名を越え、一戸建て住宅では手狭になってきた理由から、平成21年4月からは榛原区檜牧にあったすずらん福祉作業所が移転したあとの空き物件を借りることになりました。現在、精神障害者、高次脳機能障害者、知的障害のそれぞれの障害を持った人たちが、1日平均10~13名通ってきています。この宇陀地域に住む障害者の人たちが、当支援センターを通じて多くの仲間や情報と出会ったり、協力し合って色々な作業(農業、内職作業等)活動を行い、それらの生産物の販売活動、地域交流や地元学生との交流会・研修会等も行い、再び社会復帰の途に就くことを目標にしています。
精神障害とは、精神病、ならびに反応の異常、性格障害、精神遅滞などの精神状態全体をまとめて呼ぶときに用いられる概念です。精神障害の原因は大きく3つにわけて考えられています。その第1は内因性のもので、身体的なものにもとづいているとされる内的要因(素質や遺伝、年齢、性別などが関係する)によるものです。第2は、脳に外側から影響を与えられることにより身体病因をおこす、外的要因(広くは、気候、風土、文化、宗教などを含む)によるものです。第3は、上記以外の反応の異常や性格障害などの心因的なものによるものです。ただし、精神障害は一般に、複数の原因が絡み合って起こることが多く、病因の特定には困難を伴います。また、精神障害は身体疾患に比べまだまだ研究の未発達な所が多いため、分類や診断基準が国によって、また、医師ごとにもばらつきがあります。そのために、同じ患者さんが医師によって(同様な疾患だと考えられても)異なった病名をつけられるということがしばしば起きます。
高次脳機能障害とは、病気や事故などの様々な原因で脳が損傷されたために、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などに障害が起きた状態を高次脳機能障害といいます。注意力や集中力の低下、比較的古い記憶は保たれているのに新しいことは覚えられない、感情や行動の抑制がきかなくなるなどの精神・心理的症状が出現し、周囲の状況にあった適切な行動が選べなくなり、生活に支障をきたす障害です。
現在、障害者福祉施設を取り巻く経済的・自立的環境は、年々厳しくなってきております。とりわけ精神障害者や高次脳機能障害者向けの施設や福祉サービスが地元地域はもとより、全国的にも不足傾向にあり、今後の大きな課題です。さらに、障害そのものに関する知識や情報ともなれば、障害者家族に対してすら普及されていないこともあるのです。「ふれんど」では、これら多くの課題を整理しながら少しでも多くの問題解決に向けて慎重に取り組んでいるところです。
0コメント