にこにこ通信 4号
八木一男福祉会が行っている事業のひとつに、学校が夏休みの期間に開設する「にこにこの部屋」があります。正式には、「障害児の夏期休業期間における社会参加・交流促進事業」といいますが、この事業は、旧菟田野町の事業として実施されていたものを宇陀市が引き継ぎ、今年で3年目になります。今年は、宇陀市内の障害福祉サービスを実施している事業所が連携し、二階堂・明日香養護学校、地域の学校に通っているしょうがい児が、榛原・大宇陀・菟田野区内のそれぞれの会場で元気に日中を過ごしています。「にこにこの部屋」で出会う子どもたちには、支援する私たちが勉強させられ、それぞれの子どもたちの個性の豊かさに驚かされてしまいます。学校行事の関係で子どもたちの参加が少なく、いつも行っている菟田野人権交流センターではなく、「デイサービスセンターにこにこ」でK君が日中を過ごしたときのことです。K君は、いつもにこにこして、おばあちゃんが大好きです。おばあちゃんを見つけると、「おばあちゃん、あくしゅ」と言って自分から手を差し出します。決まってデイサービス利用者のNさんに手を差し出し握手を求めます。Nさんも最初は手を出して「あくしゅ」と言って握りかえしますが、それが続けて3回、4回になると、Nさんの顔つきが変わってきます。そして、ついにはNさんから「もうええ」と言う言葉が飛び出します。それでも、K君はにこにこ笑って「おばあちゃん、あくしゅ」と言って手を差し出します。K君の行動は、その場を和ませてくれますが、時にはK君の頑固さにスタッフも苦労させられます。散歩に出て、気にいった車を見つけると「くるま、のる」と言って座り込み動こうとしません。最初、「にこにこ」へ来たときも、お風呂の前で「おふろ」と言って1時間近くも座り込み動こうとしませんでした。幸い、お昼を知らせる音楽が流れてきて、大好きなごはんに誘導することができましたが、45キロのゴムまりのような体を力ずくで動かすことは至難の技です。
私たちは、「にこにこの部屋」が子どもたちにとって多くの人達との出会いと経験ができる場となり、夏休みの快適な居場所となるよう、支援していきたいと思っています。
0コメント